2005年の出来事総括|愛知万博から郵政解散・大事故の深層解剖
2005年は、メディアと資本、そして政治が極限まで劇的に絡み合った年でもありました。その象徴が「郵政解散」と「ライブドア騒動」です。
「自民党をぶっ壊す」ワンフレーズが生んだ小泉劇場の熱狂
2005年8月8日、小泉純一郎内閣が掲げた構造改革の本丸「郵政民営化法案」が参議院本会議で否決されると、小泉首相は即座に衆議院の解散を断行しました。参議院での否決を理由に衆議院を解散する異例の措置に対し、自民党内の反対派は「理不尽なクーデター」と猛反発。しかし小泉首相は「郵政民営化に賛成か反対か、国民に直接信を問う」と争点を極端なまでに単純化しました。
反対票を投じた造反議員の選挙区へ、小池百合子氏や猪口邦子氏、佐藤ゆかり氏ら「刺客」と呼ばれる対立候補を次々に投入。ワイドショーは連日この対決構図をエンターテインメントとして消費し、劇場型政治は最高潮に達しました。9月11日の投開票では自公連立で327議席という圧倒的多数を獲得。国民の圧倒的な支持を背景に、強固な派閥政治に依存していた自民党の内部力学は完全に解体されました。
フジサンケイグループを揺るがしたライブドアの奇襲
政治の世界で小泉劇場が幕を開ける半年前、経済界では堀江貴文氏率いるライブドアが、フジテレビを傘下に持つニッポン放送の株式を巡る壮絶な買収劇を繰り広げていました。
2月8日早朝、ライブドアは東京証券取引所の時間外取引(ToSTNeT-1)を活用し、ニッポン放送の発行済み株式の約35%を取得したと発表。子会社(ニッポン放送)が親会社(フジテレビ)の筆頭株主であるという資本の歪みを突き、資本市場のルールに則って電撃的な買収を仕掛けたのです。堀江氏は記者会見で「テレビとインターネットの融合」を掲げ、既得権益にしがみつく既存マスメディアの体質を舌鋒鋭く批判しました。
当時の報道特番や関係者の回顧録によると、フジテレビ側は白馬の騎士(ホワイトナイト)としてソフトバンク・インベストメント(現SBIホールディングス)を巻き込み、激しい防戦を展開。最終的に4月、ライブドアが保有するニッポン放送株をフジテレビが約1,473億円で買い取り、業務提携を結ぶことで手打ちとなりました。既存の秩序に挑んだ新興IT企業の挑戦は、翌2006年1月の東京地検特捜部による家宅捜索(ライブドア・ショック)へと暗転していきますが、日本の資本市場に「株主価値」と「敵対的M&A」の現実を突きつけた歴史的事件でした。