ベーリング海で何が?カニ数十億匹が消えた真相と過酷な極限漁のリアル
ベーリング海が直面している試練は、気候や漁業経済だけにとどまりません。北端に位置するベーリング海峡のアメリカロシア国境では、地政学的な対立の影が濃く落ちています。
アラスカのセワード半島とシベリアのチュクチ半島を分かつベーリング海峡の幅は、約82キロメートル。その中央に位置するリトルダイオミード島(米領)とビッグダイオミード島(露領)の距離は、わずか3.8キロメートルしか離れていません。冬季には海面が結氷し、理論上は歩いて渡れるこの海峡には、米露国境線と国際日付変更線が引かれており、別名「昨日の島と明日の島」と呼ばれます。
ウクライナ情勢以降の国際秩序の分断を受け、北極海航路の利権確保や海底地下資源の探査を巡り、ベーリング海峡周辺では米沿岸警備隊とロシア国境警備艇・軍用機による警戒監視活動がかつてない水準で活発化しています。民間漁船が国境付近で操業する際、誤認越境や通信トラブルが重大な外交衝突に直結しかねない緊迫感が漂っており、極北の荒海は安全保障の最前線というもう一つの顔を露わにしています。