「お酒肆(おしゅし)」の本当の意味とは?居酒屋との違いや語源を解説
「酒肆」の読み方は「しゅし」であり、接頭辞の「お」をつけた「お酒肆(おしゅし)」としても親しまれています。一見すると難読漢字に見えますが、漢検準1級レベルに相当する伝統的な漢語です。
漢字の成り立ちを分解すると、その本質が鮮明に見えてきます。前文字の「酒(しゅ)」はもちろん酒類を指しますが、ポイントは後文字の「肆(し)」にあります。「肆」という漢字は「ほしいまま(気まま・奔放)」という意味のほかに、「店」「市場」「商品を並べて商う場所」という原義を持っています。つまり、漢字の構成そのものが「酒を陳列して客に振る舞う商売の場」をダイレクトに示しているのです。
言葉のルーツは古代中国の古典文学や史書にまで遡り、唐詩や宋詞のなかでも文人墨客が立ち寄る場として「酒肆」の二文字が頻繁に登場します。日本へは漢籍を通じて伝来し、やがて教養ある知識人や文豪たちが、日常の俗語である「飲み屋」という響きを避け、風情を込めて呼ぶ雅語として定着していきました。