出雲大社に天皇は行けない?噂の真相と参拝拒絶の理由を徹底解明
結論から明示すれば、日本国憲法や皇室典範、神社本庁の規定において、天皇陛下が出雲大社へ参拝することを禁じる明文規定は一切存在しません。物理的・法的に「行けない」のではなく、歴史的・祭祀的な経緯から「親拝(天皇自らが直接社頭で拝礼すること)を行わない慣例が長く定着してきた」というのが正確な歴史的事実です。
歴史の記録を精査すると、歴代天皇が出雲大社を直接訪れた記録は古代から近代に至るまで極めて限られています。近代以降、明治天皇、大正天皇、昭和天皇、上皇陛下、そして今上天皇のいずれも、在位中に出雲大社の本殿前で親拝された公式記録はありません。昭和天皇や上皇陛下は地方行幸の折に島根県内を巡幸されていますが、出雲大社境内への親拝は行われませんでした。今上天皇も皇太子時代(1994年)に出雲大社を訪問され、境内の神祜殿などを視察されていますが、即位後の親拝は実現していません。
では、皇室が出雲大社を軽視しているのかといえば、現実は正反対です。出雲大社の最も重要な祭祀である「出雲大社教大祭」や、60年に一度の大遷宮(直近では2013年の平成の大遷宮)においては、宮内庁を通じて天皇陛下からの「勅使(ちょくし)」が遣わされ、御祭文と幣帛(へいはく=神への捧げもの)が奉呈されています。自らは直接足を運ばず、名代である勅使を遣わすというこの厳格な様式こそが、後述する古代の盟約を物語っています。