大人の斜頭症は治るのか?形成外科治療の限界と歪み改善の真相
では、大人が頭蓋骨の凹凸や左右差を物理的に治す手段は皆無なのでしょうか。唯一、解剖学的に形状を変える手段として存在するのが、形成外科や脳神経外科で実施される頭蓋形成術(クラニオプラスティ)です。
大人の斜頭症に対する外科的アプローチは、主に「凹んでいる部分を人工材料で埋めて左右対称に近づける」充填術が主流です。頭皮を切開し、頭蓋骨の表面に人工骨(バイオペックス等のリン酸カルシウム骨セメント)や、3Dプリンターで頭部CTデータから患者固有の骨欠損に合わせて完全オーダーメイド製作されたチタンメッシュ、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)インプラントを留置・固定します。
ただし、この手術には知っておくべき重いハードルが存在します。
- 保険適用の有無:外傷による骨欠損や頭蓋変形を伴う病的疾患(頭蓋骨早期癒合症など)の治療とは異なり、乳児期からの位置的斜頭症による純粋な整容面(見た目)の改善は、原則として公的医療保険の適用外(自由診療)となります。
- 手術費用と相場:自費診療となるため、術前3D-CT検査、オーダーメイド材料費、麻酔・入院費を含めると、相場はおよそ80万〜250万円前後に達します。
- 外科的侵襲とリスク:頭蓋骨露出のために頭皮を広範囲に切開するため、毛蓋内に目立つ瘢痕(傷跡)が残るほか、一時的な脱毛症、術後の皮下血腫、長期的な人工物感染のリスクが常に伴います。感染が生じた場合は、留置した人工骨を全摘出せざるを得ません。