低ナトリウム血症の初期症状とは?頭痛・吐き気から急変防ぐ原因と対処法
体内の塩分が減少するメカニズムは、単に「塩辛いものを食べていない」という単純な食事の問題にとどまりません。病態生理学的には、体内の水分量とナトリウム量の相対的なバランスによって大きく3つのタイプに大別されます。
第1に、体内の水分と塩分の両方が失われ、特に塩分の喪失が激しい「循環血液量減少型」です。激しい下痢や嘔吐、過剰な発汗のほか、高血圧治療で用いられるサイアザイド系利尿薬の過剰な作用、副腎皮質機能低下症などが該当します。脱水を伴うため口渇感を伴いやすいのが特徴です。
第2に、体全体の水分が過剰に蓄積して塩分が薄まる「循環血液量増加型」です。重度の心不全、肝硬変、ネフローゼ症候群や腎不全といった重大な基礎疾患が背景にあり、浮腫(むくみ)を伴いながら血中ナトリウムが希釈されます。
第3に、水分量が見かけ上正常でありながらナトリウム濃度のみが低下する「循環血液量正常型」です。ここで臨床上極めて重要視されるのが、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)です。本来であれば不要なはずの抗利尿ホルモン(バソプレシン)が過剰に分泌され続け、腎臓で水分が過剰に再吸収されて血液が極端に薄まります。肺がんなどの悪性腫瘍、中枢神経疾患、あるいはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)をはじめとする抗うつ薬や抗てんかん薬の内服が引き金となって発症する経緯が知られています。
日常会話で混同されがちな「水中毒」は、精神疾患に伴う心因性多飲症や、過酷な持久系スポーツ後に真水だけを短時間にガブ飲みした結果として生じる急性希釈性の病態を指します。水中毒は低ナトリウム血症を引き起こす一要因であり、疾患や薬剤など多様な要素で起こる低ナトリウム血症という大きな枠組みの中に位置づけられます。