東京の廃駅は今どうなった?都心の地下に眠る幻のホームと遺構の現在
「東京の廃駅は今、どのような姿になっているのか」――鉄道ファンのみならず、都市探訪を愛する多くの人々を惹きつけてやまないこの疑問。結論から言えば、都内の一等地にある主要な廃駅跡は、単なる立ち入り禁止の廃墟ではなく、商業空間や文化発信拠点として劇的な再生を遂げています。
その代表格が、JR中央線の神田~御茶ノ水間に位置する「万世橋駅の現在と遺構」です。1912(明治45)年、東京駅の設計でも知られる建築家・辰野金吾の手によって誕生した万世橋駅は、かつて中央本線の始発ターミナルとして威容を誇っていました。1943年に営業を休止して以来、長らく駅としての役目を閉じていましたが、赤レンガ高架橋の高架下空間が見事に蘇り、現在は高感度な商業施設「マーチエキュート神田万世橋」として定着しています。
特筆すべきは、遺構のプラットホーム部分に設置されたマーチエキュート神田万世橋 カフェ(旧駅名標をモチーフにしたデッキ空間)です。中央線の快速電車がガラス窓のすぐ外側、左右両方向から轟音とともに通過する体験は世界的に見ても唯一無二。現場を訪れた利用者が口を揃えて「日常のすぐ隣に歴史の断層が剥き出しになっている」と証言するように、往時の階段(1912年階段・1935年階段)を自分の足で歩き、かつてのプラットホームから中央線を眺める時間は、知的な興奮を呼び起こします。
一方、地下空間における保存活用の先駆けとなったのが、京成電鉄本線の「博物館動物園駅」です。上野恩賜公園の北端、国立科学博物館や上野動物園の至近に位置するこの駅は、1997年の営業休止、2004年の廃止を経て、2018年に鉄道施設として初めて「東京都選定歴史的建造物」に指定されました。2026年現在も定期的なアートインスタレーションや博物館動物園駅 見学ツアー(公式の特別公開企画)が開催されており、西洋風の重厚なドーム屋根を持つ地上駅舎から、昭和の空気がそのまま凝固した地下改札・地下通路へのアプローチは、予約抽選が即日満席となるほどの高い関心を集めています。