ドラクエ7の発売日はなぜ延期した?Ps・3Ds・スマホ版を徹底比較
ドラクエ7を語る上で避けて通れないのが、「度重なる発売延期」のドラマです。当初、エニックス(当時)は1999年末の商戦期発売をアナウンスしていましたが、その後「2000年春」「2000年夏」へと異例の再延期が繰り返されました。
開発期間が5年近くに及んだ背景には、主に3つの構造的な技術的障壁と開発体制の事情が存在していました。
第1に、「2Dドット絵と3D空間の融合」における試行錯誤です。本作はキャラクターを従来のドット絵で表現しつつ、背景マップをフル3Dで構築し、視点を360度回転できる構造を採用しました。当時の制作陣の手記やインタビューによると、カメラの回転によって建物の陰に隠れるアイテムやNPCの配置バランス、プレイヤーが空間認識を見失わないためのカメラワーク調整に膨大な開発工数が費やされました。
第2に、シリーズ史上類を見ないテキスト量と「石版システム」の複雑怪奇さです。本作は各地で手に入る石版の破片を集め、台座にはめ込むことで過去の封印された世界へタイムスリップする構造を持っています。堀井雄二氏が手掛けたシナリオは膨大を極め、分岐やフラグ管理のデバッグ作業は当時の技術水準では想定を遥かに超える負荷となって開発会社(ハートビート、アルテピアッツァ)へ重くのしかかりました。
第3に、堀井雄二氏の徹底した「面白さへのこだわり」と仕様変更です。完成間近の段階であっても、「プレイヤーがつまずく」「感情移入が弱い」と判断された導線は容赦なくリテイクされました。妥協を許さない作家主義が、結果として幾度もの延期を招いた決定打と言えます。