根尾昂の現在地と投手転向の真相|大阪桐蔭・春夏連覇からの軌跡を追う
根尾昂という野球人の原点を語る上で、名門・大阪桐蔭高校での3年間を外すことはできません。岐阜県飛騨市出身の根尾は、中学生時代からスキーの全国大会(回転)で優勝を果たすなど、並外れた運動神経の持ち主として全国にその名を知られていました。両親が地域医療を支える医師であり、自身も卓越した学業成績を収めながら選んだ進路が、西谷浩一監督率いる大阪桐蔭でした。
当時のチームは、のちにプロの世界へ進む藤原恭大(現・千葉ロッテ)、柿木蓮、横川凱(現・読売ジャイアンツ)らを擁し、「高校野球史上最強世代」と称された黄金期です。その中でも根尾の存在感は突出していました。投げてはマウンドで唸る直球を投げ込み、打席では勝負強さを遺憾なく発揮。守っては本職の遊撃手として幾度となくチームの危機を救いました。
甲子園における通算成績は、まさに伝説と呼ぶにふさわしい数字を残しています。
選抜高等学校野球大会および全国高等学校野球選手権大会の通算で、根尾は打者として打率3割7分以上、3本塁打を記録。特に2017年春、2018年春、2018年夏と甲子園の頂点に3度立ち、2018年の春夏連覇の瞬間にはいずれもグラウンドで歓喜の輪の中心にいました。春の決勝・智弁和歌山戦では先発として完投勝利を挙げ、夏の決勝・金足農業戦ではバックスクリーンへ豪快な本塁打を叩き込んだ上で、最終回を締めくくる胴上げ投手となっています。投打の両面でこれほど決定的な仕事を成し遂げた球児は、高校野球100年を超える歴史の中でも類を見ません。
グラウンド外でのストイックさも語り草です。寮生活では寸暇を惜しんで読書に励み、道具の手入れを怠らず、取材陣に対する受け答えも高校生とは思えない理知的なものでした。恩師である西谷浩一監督が「野球に対する探求心と真摯な姿勢は、歴代の部員の中でも抜きんでていた」と述懐するように、卓越したフィジカルと研ぎ澄まされた精神性が融合した姿こそ、ファンが熱狂した高校時代の根尾昂でした。