観客を呑み込む怒号と怪演!般若みたいな顔の裏にある凄絶な物語
元来、「般若」という言葉は日本の伝統芸能である能楽に由来している。能楽で用いられる「般若面」は、深い嫉妬や恨みによって鬼と化した女性の哀しみと怒りを象徴する造形美の結晶だ。額の角、開かれた大きな口、そして上半分と下半分で異なる感情を宿す緻密な彫刻は、見る角度によって悲哀にも狂気にも変化する。
現代の映像表現において俳優たちが見せる激しい表情変化は、この古典的な美意識と地続きにあると言っても過言ではない。言葉を発せずとも顔の表情だけで内面の修羅場を表現する技術は、日本の伝統的な舞台芸術が長い年月をかけて洗練させてきた身体感覚のたまものである。