はげの湯温泉の由来と青い湯の真相!熊本・わいた温泉郷を徹底解剖
旅行雑誌の特集や道路標識で「はげの湯」の文字を目にした人の多くが、「何か頭髪に関するご利益があるのだろうか」と連想します。実際、現地を訪れる観光客の間でも格好の話題となっており、記念撮影スポットとして看板の前で足を止める人の姿も珍しくありません。
しかし、熊本県小国町や地域の歴史資料、現地に伝わる口伝を検証すると、頭髪の悩みとは全く異なる、大地の息吹に根ざした命名の歴史的経緯が浮かび上がってきます。定説として語り継がれている由来には、主に次の2つの説が存在します。
最も有力視されているのが、日当たりの良さに由来する「日受(ひうけ)の湯」転訛説です。湧蓋山の南西斜面に位置するこの集落は、朝日を遮るものが少なく、日中を通して眩しい太陽の光を浴びる温暖な地形にあります。かつて「日当たりが良い場所」「日がよく受ける地」という意味で「日受(ひうけ)」と呼ばれていたものが、時代を経て方言や語調の変遷とともに「はげ」へと訛ったと伝えられています。
もうひとつの有力説が、猛烈な地熱エネルギーに起因する「剥げ地(はげち)」説です。わいた温泉郷一帯は、地面をわずかに掘れば高温の温泉蒸気が噴き出す日本屈指の地熱地帯。かつては山肌のいたるところから高温の硫気の噴出が見られ、熱によって植物が根を張れず、地表の草木が枯れて岩肌が露出した「禿げた斜面」が広がっていました。この剥き出しの大地から湧き出る湯であることから「はげの湯」と呼ばれるようになったという説です。
現代では、このユーモラスな語感を逆手に取り、「髪の毛に良いかもしれない」と笑顔で訪れる湯治客を温かく迎え入れる宿のホスピタリティも定着しています。強烈な名称の根底にあるのは、小国の肥沃な自然と強烈な地球の鼓動そのものです。