はいだしょうこの絵はなぜ伝説の放送事故に?スプー事件の真相と現在の画力
事件が起きたのは、2006年4月28日に放送された『おかあさんといっしょ』のワンコーナーでした。当時、番組内の人形劇として絶大な人気を誇っていた『ぐ〜チョコランタン』の主役キャラクター「スプー」を描く企画として、『スプーのえかきうた』が実演されたのです。
本来のスプーは、黄色いふっくらとした体に大きな丸い目、ラッパのような愛らしい口元が特徴的な、幼児向けの愛くるしいキャラクターです。先に描き始めた今井ゆうぞうお兄さんは、歌の歌詞とメロディに合わせ、手慣れた様子で忠実なスプーをボード上に再現していきました。問題は、その隣でペンを握っていたはいだしょうこおねえさんの手元でした。
歌の序盤、「丸いお皿」を描く段階までは順調に見えたものの、えかきうたが進むにつれて画面上の造形は次第に不穏な輪郭を帯び始めます。目玉が入るべき場所に鋭利な点が穿たれ、口元にはギザギザとした牙のような線が幾重にも走りました。仕上げの角が描き加えられた瞬間、そこに鎮座していたのは、愛らしい人気キャラクターではなく、まるで深海や異界から召喚されたかのような怪異でした。
放送直後、保護者たちの間では「子どもが本気で怖がって泣き出した」「スプー トラウマとして記憶に刻まれた」という声が相次ぎました。公共放送の幼児向け番組という、極めて統制されたクリーンな空間で突如として解き放たれたアナーキーな造形美は、後にネット上で「おかあさんといっしょ最大の放送事故」と語り継がれる契機となったのです。