岡ノ谷一夫の現在|ジュウシマツとハダカデバネズミが解く言葉の謎
岡ノ谷一夫という名を世界へ轟かせた決定打が、長年飼い鳥として愛されてきたジュウシマツの歌研究です。野生の原種であるコシジロキンパラが単調なパターンでしか鳴かないのに対し、約250年前に日本で家畜化されたジュウシマツは、音節を複雑につなぎ替える「規則(文法)」を持った歌を歌うことを岡ノ谷氏の研究グループが突き止めました。
この発見は、ヒトがどのようにして複雑な文法を獲得したのかという言語の起源をめぐる論争に決定的な光を当てました。天敵に襲われない安全な飼育環境(選択圧の緩和)がもたらした偶然の産物が、複雑な歌パターンの進化を促したという仮説は、人類が言葉を手に入れたプロセスの強力なモデルケースとして国際的に極めて高い評価を受けています。