ジャクソン5の真実|I Want You Backが魅了し続ける理由
この楽曲が放つ最大の衝撃は、当時わずか11歳(※モータウンの公式広報では当初「9歳」と詐称されていました)だったマイケル・ジャクソンの歌唱力にあります。ジャクソン5の『I Want You Back』の歌詞の意味を読み解くと、そこに描かれているのは純真無垢な子どもの世界ではなく、痛烈な大人の愛憎劇です。
「手放して初めて、君がかけがえのない存在だったと気づいた」「別の男の手を握って街を歩く君を見て、胸が張り裂けそうだ」。邦題の『帰ってほしいの』という直球の哀願が示す通り、歌詞の本質は身勝手な男の遅すぎた後悔とやり場のない嫉妬です。この泥臭いブルースのテーマを、マイケルは完璧なリズム感と大人顔負けのフェイクで歌い上げました。
マイケルは生前の手記や自著『Moonwalk』の中で、幼少期の歌唱について次のように述懐しています。
「父に連れられて出演したストリップ劇場やクラブの楽屋で、ジェームス・ブラウンやジャッキー・ウィルソン、リトル・リチャードの一挙手一投足を観察し続けた。彼らがどうやって声を震わせ、どうやって観客の魂を掴むのか、僕はただ貪欲にスポンジのように吸収していたんだ」
スタジオでプロデューサー陣は、マイケルに対して感情の込め方を事細かに指示しました。しかし、マイクの前に立った少年が放った第一声「Uh-huh huh huh huh... Let me tell ya now!」の咆哮は、大人の指示を遥かに凌駕する天性のグルーヴでした。甘い子供の声でありながら、根底にはディープな黒人音楽の伝統が息づいている。この二面性こそが、聴く者の心を鷲掴みにした最大の要因です。