お札の文字「隷書」とは?特徴や歴史・楷書との違いを徹底解明
漢字の書体には「書道五体(篆書・隷書・草書・行書・楷書)」が存在します。文字の歴史において特筆すべきは、一般に思われがちな「篆書→隷書→楷書→行書→草書」という順番で進化したわけではないという点です。実際には、隷書を早書きする過程からまず「草書」が生まれ、その後日常の筆記体として「行書」が整い、最も遅い三国時代から唐代にかけて最も整然とした「楷書」が完成しました。
文字構造の観点から見ると、隷書はすべての現代漢字(楷書・行書・草書)の直接の母体となった「漢字史上最大の転換点」に位置づけられます。
隷書と楷書の最も分かりやすい違いは「字形の縦横比」と「起筆・終筆の処理」にあります。楷書が正方形の枠に収まる均整の取れたプロポーションを持つのに対し、隷書は左右に重心を広げた扁平な横長プロポーションをとります。また、楷書が「トン・スー・トン」と筆を入れる露鋒(ろほう)を多用するのに対し、隷書は筆先を隠して丸みを持たせる独特の入筆を行うのが特徴です。