ブルーカラー大衆紙の衝撃|過激な見出しと世論を操る驚愕の正体
世界で最も新聞と階級社会が密接にリンクしている国がイギリスです。英国の労働者階級文化において、どの新聞をパブで読んでいるかは自己のアイデンティティを表明する行為そのものでした。
その頂点に君臨してきたのが、ルパート・マードック率いるニューズ・コープ傘下の「ザ・サン(The Sun)」です。かつて名物だった3面の女性ヌード写真(ページ・スリー・ガール)や、王室・セレブのスキャンダルを暴くスクープ力で圧倒的な部数を誇示。1992年の英総選挙において保守党勝利を決定づけた「ザ・サンの勝利」宣言や、2016年のブレグジット(EU離脱)国民投票における強烈な反EUキャンペーンなど、一国の政治体制をも覆す世論誘導力を見せつけました。
一方、その最大のライバルとして労働者層の支持を二分してきたのが「デイリー・ミラー(Daily Mirror)」です。デイリー・ミラーは伝統的に労働党支持の左派スタンスを掲げ、庶民の福祉や労働環境の改善を訴えつつ、痛快なゴシップ報道を展開して高い評判を確立してきました。政治信条こそ右と左で対立するものの、どちらも労働者層の生活感情に寄り添い、支配層への痛烈な批判を武器に巨大な発行部数を維持してきた歴史を持ちます。