なぜ低カロリー?ミスド「フレンチクルーラー」の秘密と販売休止の真相
「ドーナツ=重たい小麦粉の塊」という常識を根底から覆す、フレンチクルーラー特有のふわっとした口どけ。その秘密は、パン生地でもホットケーキ生地でもなく、洋菓子のシュー生地(Pâte à choux)を油で揚げるという画期的な構造にあります。
製菓材料大手の富澤商店やcottaが公開している専門解説にもある通り、シュー生地は小麦粉のデンプンをあらかじめ熱湯や油脂と一緒に糊化(アルファ化)させ、そこにたっぷりの全卵を練り込んで作られます。この水分をたっぷり含んだ生地を高温のフライヤーに投入すると、内部の水蒸気が一気に膨張して外側の油膜を押し広げ、蜂の巣のような無数の微細な空洞(気泡)を形成します。
つまり、フレンチクルーラーの体積の大部分は「芳醇な香気をまとった空気の部屋」で構成されています。見た目のしっかりとしたボリューム感に反して、使用されている粉の絶対量が極めて少ないため、驚くほどの軽快感と前述の低カロリー・低糖質が物理的に両立できる仕立てとなっています。仕上げに表面へ薄くコーティングされるハチミツ風味のグレーズ(糖衣)が、気泡を多く含んだ生地の表面でサクッとしたアクセントを刻み、噛みしめると一瞬で溶けゆく至高のテクスチャーを完成させています。