「見切れ地獄」ブリリアホールの座席見え方と改修後の残酷な真実
東京建物Brillia HALLが開館した直後から、演劇クラスタやアイドルファンの間で「#ブリリア座席ガチャ」といったハッシュタグが自然発生しました。チケット代に1万数千円を支払ったにもかかわらず、「舞台奥にいる推しの姿がまったく見えなかった」「前の人の頭でセンターのラブシーンが完全に消えた」といった深刻な苦情が噴出したのです。この問題の根底には、都市伝説や好みの問題ではなく、劇場の基本設計に起因する物理的な構造欠陥が存在していました。
最大の構造要因は、池袋の限られた敷地に3層構造・約1,300席を無理に収めたことによる「極端な縦長プロセニアム形式」です。敷地面積の制約から奥行きを十分に取れず、客席を垂直方向へ積み上げる設計が採用されました。その結果、以下の3つの致命的な視界干渉が生じることになりました。
第一に、1階席における床の傾斜(勾配)の緩さです。前方から後方にかけての段差が極めて浅く、かつ当初は座席が前の席と一直線に配置されていたため、前列観客の座高によって舞台中央の視界が完全に遮られる「頭被り(ヘッドブロック)」が常態化しました。
第二に、転落防止用手すりの設置位置と視線角度の干渉です。建築基準法で義務付けられている手すり高(1.1メートル以上)が、2階・3階席の急勾配から見下ろす視線ラインのど真ん中に重なり、舞台の手前(エプロン・銀橋部分)を太い金属バーが横断して隠してしまう事態が発生しました。
そして第三に、極端な角度がつけられたサイド席(バルコニー席)の死角です。壁面に沿って縦に並ぶ座席は、舞台に対して斜め前を向くのではなく真横を向いて座る形状に近く、首を直角に曲げ続けなければ舞台が見えない過酷な鑑賞体勢を強いられる設計となっていました。