三億円事件のお金の行方は?奪われた紙幣が使われなかった真相と現在
未解決のまま時効を迎えた三億円事件において、最大の関心事は「奪われた紙幣がその後どうなったのか」という点に集約されます。実は、奪われた現金2億9,430万7,500円の内訳は、千円札、五百円札、百円札、五十円札など多岐にわたっていました。なかでも捜査本部が最大の包囲網として頼みの綱としたのが、「三億円事件 500円札」の記番号(紙幣番号)でした。
日本銀行から直接日本信託銀行へ引き渡されたばかりの新札のうち、B号500円札(岩倉具視像)2,000枚(計100万円分)の記番号が完全に記録されていたのです。警視庁はこの2,000枚の紙幣番号を即座に公開手配し、全国の銀行、信託金庫、信用組合、さらには百貨店やパチンコ店に至るまでリストを配布。一枚でも金融機関に戻れば、その流通経路から犯人を特定できる厳戒態勢を敷きました。
しかし、これが皮肉にも「お金が使われない決定打」となりました。犯人にとって、記番号が特定されている500円札は「持つだけで死刑台へ直結する時限爆弾」と化してしまったのです。さらに、紙幣が使われなかった理由として、長年捜査関係者や犯罪ジャーナリストの間で以下の4大仮説が議論され続けています。
- 完全焼却・投棄説:全国的な大捜索とメディアの過熱報道に恐れをなし、紙幣ごとドラム缶等で焼却処分、あるいは海や山林へ投棄したという説。もっとも現実味が高いとされる見解の一つです。
- 地中埋没・腐食説:時効成立まで誰の手にも触れさせないよう山中に埋めたものの、日本の高温多湿な土壌と地下水により、数年から十数年の歳月で紙幣が腐敗・粘土化し、掘り出した時には使用不能になっていたという説。
- 海外密輸・ロンダリング説:当時マネーロンダリング防止策が未成熟だった香港、台湾、あるいはスイスなどの秘密口座へ裏ルートで持ち出され、現地通貨や貴金属へ換金されたという説。ただし、500円札の記番号が海外銀行からも報告されなかった点が矛盾として残ります。
- 無記名紙幣のみの極秘消費説:記番号が判明していない千円札や百円札など(約2億9,300万円分)のみを、日常生活のなかで数十年の歳月をかけて極めて少額ずつ消費し切ったという説。