有機農業の聖地が示す未来!食の安全と完全循環型農法の現在地
この農場を語る上で欠かせないのが、創業者である故・金子美登(かねこ よしのり)氏の存在だ。1970年代、高度経済成長の影で大量生産・大量消費型の近代農業が主流となる中、彼は異を唱えた。自然の理に反した化学農薬や化成肥料の使用に疑問を抱き、試行錯誤の末に生み出したのが「完全循環型農法」である。
その仕組みは驚くほど合理的かつ美しい。敷地内で飼育される牛や鶏の排泄物を落葉や米ぬかと混ぜ合わせ、時間をかけて熟成発酵させて質の高い堆肥を作る。その堆肥が土を養い、元気な野菜を育み、作物の残渣は再び家畜の餌となる。外部からの資材投入を最小限に抑え、エネルギーと資源を地域内で巡らせる生態系のループ。金子氏が遺したこの哲学こそ、現代の有機農業が目指すべき原点と言える。