吉幾三『おら東京さ行くだ』は本当に日本初ラップ?世界が驚愕した名曲の真相
昭和のヒット曲であった本作が、21世紀のデジタルネイティブ世代へ決定的に受け継がれた契機が、2008年前後にニコニコ動画を中心に爆発した「IKZO(イクゾー)ブーム」です。発端は、あるネットユーザーが吉幾三氏のアカペラ音源を、Perfumeのテクノポップ楽曲とマッシュアップした動画を投稿したことでした。
どんなBPMやジャンルのトラックにも寸分の狂いもなくハマる吉氏の歌唱力とリズム感に対し、ネットユーザーは敬意を込めて「IKZO」と命名。その後、ダフト・パンク、マキシマム ザ ホルモン、さらにはマイケル・ジャクソンやエミネムの楽曲と融合させた職人技の動画が次々と制作され、数百万回規模の再生を連発しました。著作権上のグレーゾーンから始まったムーブメントでしたが、吉幾三氏本人および所属事務所が「若い人たちが面白がって聴いてくれるなら大歓迎」と懐の深い公認姿勢を示したことで、一大カルチャーへと昇華しました。
この流れは2019年、DA PUMPの大ヒット曲『U.S.A.』とオフィシャルで合体した『俺ら東京さ行ぐだ (U.S.A. バージョン)』の制作へと結実します。公式自らがマッシュアップを公認し、ミュージックビデオを公開すると、公開からわずか数日で数百万回再生を記録。「神コラボ」「公式が最大手」とネット上で絶賛を浴びました。
さらに現在、この熱波は海外の音楽ファンやトラックメイカーへ波及しています。YouTubeのリアクション動画では、欧米のヒップホップヘッズが「1984年の日本にこんなファンキーなフロウを操る男がいたのか」「言葉は分からないがリズムの跳ね方が最高にクールだ」と驚愕する姿が日常的に見られます。TikTokでもトラックの抜き出し音源がバイラルヒットするなど、国境と世代を軽々と飛び越える普遍性を証明しています。