競馬は時速何キロ?最高速度70Km超の真相と最後の直線に潜む罠
ネット上の掲示板やSNSでは、競走馬のスピードに関して長年信じ込まれている誤解が少なくありません。取材現場で得られた知見をもとに、代表的な3つの盲点を正しておきましょう。
誤解1:「ダート(砂)は芝よりも圧倒的に遅い?」
「ダートコースは砂に足を取られるから時速40km程度しか出ない」という言説を見かけることがありますが、これは明確な誤りです。JRAのダート重賞(例えばフェブラリーステークス・1600m)の決着タイムは約1分35秒前後。これを時速換算すると時速約60.6kmに達します。芝コースの同距離(時速約63km)と比べても時速2〜3km程度の差に過ぎず、ダートであっても自動車並みの猛スピードで疾走しています。
誤解2:「小柄な馬の方が身軽で最高速度が速い?」
人間の短距離走では小柄でピッチの速い選手が初速でリードすることがありますが、競走馬においては必ずしも当てはまりません。最高速度を叩き出すためには、1歩あたりの歩幅(ストライド)を7メートル以上に広げる必要があります。これには強大な後肢の筋力と適切な骨格が不可欠であり、統計上、直線で最高時速を記録しやすいのは480kg〜520kg前後の充実した馬格を持つサラブレッドです。
誤解3:「ムチを入れるほどスピードが無制限に上がる?」
騎手が直線でステッキ(ムチ)を激しく使うシーンから、「叩けば叩くほど加速する」と思われがちです。しかし現代の競馬では、ムチは「馬の集中力を切らさないための合図」および「斜行を防ぐための矯正具」としての役割が主です。過度な連打はむしろ馬のリズムを狂わせ、ストライドを縮めて減速を招く原因となります。そのため現在の中央競馬および国際競馬ルールでは、連打の回数制限が厳格に科されています。