かりゆし58「オワリはじまり」なぜ泣ける?誕生秘話と歌詞に秘めた真実
教育現場や卒業生のコミュニティにおいて、「オワリはじまり」はレミオロメンの「3月9日」や森山直太朗の「さくら(独唱)」と並ぶ卒業ソングの最高峰として君臨しています。しかし、前述の通りこの楽曲は学校の卒業をテーマに書き下ろされたものではありません。それにもかかわらず、なぜこれほどまでに卒業式や卒部式の現場で選ばれ続けるのでしょうか。
最大の理由は、サビで繰り返される「もうすぐ今日が終わる やり残したことはないかい」という問いかけが持つ、心理学的な「イニシエーション(通過儀礼)との親和性」にあります。青春の終わりや学園生活の別れは、若者にとってアイデンティティの大きな揺らぎを伴う精神的危機です。心理学における「認知的再評価(リフレーミング)」の観点から見ると、本作は単なるセンチメンタルな感傷にとどまりません。
「旅立ちの時はいつだって 少し痛みを伴うもの」と痛みの存在を真っ向から肯定した上で、「終わりは始まり」という循環構造へと意識を導きます。別れの痛切な哀しみを「次のステージへ進むための不可欠なエネルギー」へと再定義してくれるからこそ、涙を流しながらも前を向く強さを手に入れられるのです。保護者や教員にとっても、我が子が巣立つ瞬間の切なさと誇らしさがこのフレーズに完璧に重なり合い、世代を超えた共鳴を引き起こしています。