まっくろくろすけの正体と消える理由|ススワタリの裏設定と真相を検証
サツキとメイが古い屋敷に入った直後、壁の隙間へ逃げ込んでいったススワタリたち。彼らが劇中であっさりと姿を消してしまった理由には、作品の根幹に関わる重要な民俗学的意味が込められています。その謎を解く決定的な鍵となるのが、隣の家に住むカンタのばあちゃんのセリフです。
おばあちゃんは、驚く姉妹に対して穏やかな笑顔で次のように語りかけます。
「そりゃススワタリだな。誰もいねえ古い家に住みついて、そこらじゅう煤だらけにしちまうんだ。悪さはしねえが、陽の光と笑い声が大嫌いでな。昔は儂の目にも見えたが、いつの間にか見えなくなっちまった」
この言葉が示す通り、まっくろくろすけが消える理由は「人間の生活の気配」と「明るい笑い声」にあります。長年空き家だった草壁家に一家が引っ越し、子どもたちの元気な声が響き渡り、窓が開け放たれて陽光が差し込んだことで、居場所を失ったススワタリたちは夜空へと飛び立ち、別の廃屋へと引っ越していったのです。人間を脅かすためではなく、人間が暮らし始めたからこそ遠慮して立ち去るという、奥ゆかしい習性を持っています。
また、ジブリファンがよく抱く疑問の一つに「なぜ彼らは金平糖を食べるのか?」という点があります。『となりのトトロ』では食事の描写は一切ありませんが、2001年公開の映画『千と千尋の神隠し』では、釜爺のボイラー室で働くススワタリたちにリンが食事として色とりどりの金平糖をばらまく名シーンが登場します。
ススワタリが金平糖を食べる理由について、宮崎駿監督は当時の関係者インタビューで「過酷な重労働をする彼らにとって、砂糖の塊である金平糖は即効性のあるエネルギー補給になるから」と解説しています。また、魔女の湯婆婆に魔法をかけられて労働を義務づけられたススワタリにとって、甘い金平糖は唯一の楽しみであり、鉱物的な煤の体とカラフルな砂糖菓子のビジュアル対比がアニメーションとしての躍動感を生み出しているのです。