満月の夜は狼になるの真相|伝説の起源と科学が明かす驚きの正体
英語で精神異常者や狂気じみた行動を指す「ルナティック(Lunatic)」という単語は、ラテン語で月を意味する「ルナ(Luna)」が語源だ。古代ローマの医師たちも、月の満ち欠けが人間の脳内の体液バランスを揺さぶり、狂気を引き起こすと信じていた。
世界各国の法執行機関や医療機関では、古くから「満月の夜には犯罪や事故、救急搬送が増える」という説が根強く語られてきた。イギリスのサセックス警察が満月の夜にパトロール要員を増員した事例や、アメリカの救急病院で満月時のスタッフ配置を厚くしていた実例は有名だ。
犯罪統計データを厳密に解析した近年のメタ分析によると、統計上の犯罪率そのものが満月の夜に急増しているとは言い切れないとする研究が多い。しかし、現場の人間が「満月の夜は荒れる」と実感する背景には、2つの明確な要因が存在する。
第一に認知バイアス(確証バイアス)だ。平穏な満月の夜は何事もなく記憶から消えるが、たまたま事件や大事故が起きた夜に空を見上げて満月が出ていると、「やはり満月だからだ」と強く記憶に焼き付く。
第二に夜間の活動量の増加だ。街灯が少なかった時代、明るい満月の夜は人々の夜間外出や集会の機会を物理的に増やし、結果として飲酒トラブルや喧嘩、暴力事件の発生率を押し上げていた。明るい夜がもたらす行動パターンの変化が、狂気の伝承を補強した側面は否めない。