マンホールの中の人魚|トラウマ結末の真相と配信・廃盤理由を徹底解剖
物語の主人公は、スランプに陥り精神的に困窮している画家(演:斉木しげる)。彼はかつて美しい小川が流れていたものの、現在は都市の排泄物が流れ込む暗黒の下水道(マンホールの中)へと足繁く通っていました。そこで彼は、幼少期の記憶に残る美しい人魚(演:そめいまり)と奇跡的な再会を果たします。
しかし、汚泥に侵された人魚の腹部には不気味な腫瘍が生じていました。苦痛にあえぐ人魚を助けるため、画家は自宅アパートの浴室へと連れ帰ります。ここから、観る者の正気を削る凄惨な腐敗のプロセスが始まります。
病状は急速に悪化し、人魚の全身から色とりどりの膿が噴出。皮膚を突き破って無数のミミズやウジ虫が這い出します。絶望的な激痛の中で人魚は自らの死期を悟り、画家に「私の死んでいく姿を描いてほしい」と懇願。人魚の吹き出す鮮血と膿を絵の具代わりに使い、画家は狂気に憑りつかれたようにカンバスへ筆を走らせます。人魚は自ら腹を裂き、肉塊を撒き散らしながら息絶え、画家はその遺骸を包丁でバラバラに解体していきます。
そして物語は、映画史に残る冷酷な結末を迎えます。異臭と物音に気づいた近隣住民(演:久本雅美ほか)の通報により、警察が画家の部屋へ踏み込みます。そこで発見されたのは、人魚の死骸などではなく、無残に切り刻まれた「画家の妊娠中の妻」の遺体でした。手には包丁を握りしめ、血まみれで呆然と立ち尽くす画家。人魚の肉片と信じていたものは、自らが惨殺した胎児と妻の肉塊だったという、あまりにも残酷な現実が突きつけられます。
ラストシーンでは、精神病院に収監された画家の独白とともに、現場から押収された一枚の「本物の人魚の鱗」が画面に映し出され、物語は解釈の余白を残したまま幕を閉じます。すべては画家の統合失調的な妄想だったのか、それとも超自然的な人魚の呪詛が妻に転移したのか――この二重構造の切れ味こそが、本作が単なるスプラッターに終わらない理由です。