キメラアント王の声優は内山昂輝!メルエム圧倒的演技の真相と裏話
キメラアント編のクライマックスとして語り継がれるのが、第135話「コノヒ×ト×コノヒ」です。薔薇の毒に侵され、自らの死期を悟ったメルエムが、最後に望んだのはコムギとの軍儀でした。このエピソードの終盤、作画はあえて黒ベタの暗闇となり、画面には文字と二人の会話音声だけが流れるという、テレビアニメとしては異例中の異例の演出が取られました。
当時のラジオ番組や特別座談会、公式イベントで明かされたアフレコ裏話によると、このシーンの収録現場は異様な緊張感に包まれていたといいます。ゴン役の潘めぐみさんをはじめとする他のキャスト陣もブースの片隅で見守る中、内山昂輝さんと遠藤綾さんは互いの呼吸を研ぎ澄ませ、マイクの前に立ちました。
「メルエム様、わたし…今…とても幸せです」「…そうか」「コムギ…いるか?」「はいな、ここにいますとも」――。
視力を失った王が少女の名前を呼び、少女がそれに答える短い対話。内山さんは過度に感情を昂らせず、静かに消えゆく命の灯火を淡々としたトーンの中に込めました。だからこそ、遠藤綾さん演じるコムギの涙混じりの柔らかな声と溶け合い、視聴者の胸を締め付ける奇跡の名テイクが完成したのです。作為的な泣き芝居を徹底して排除し、役の心理の核心に寄り添った演技論の結晶と言えます。