なぜ閉店?ポケットファームどきどきつくば牛久店の真相と跡地の現在
あれほど圧倒的な集客力を誇っていたつくば牛久店が、なぜ閉店という苦渋の決断を下すに至ったのか。運営元であるJA全農いばらきの事業環境や、当時の飲食・農業観光ビジネスを取り巻く構造変化を紐解くと、主に3つの決定的要因が浮かび上がってきます。
第一に、感染症拡大によるビュッフェ・バイキング業態への甚大な打撃です。つくば牛久店の最大のキラーコンテンツであった「森の家庭料理レストラン」は、客が自由に料理を取り分けるセルフビュッフェ形式を売りにしていました。コロナ禍による外出自粛や衛生管理基準の激変は、飲食部門の収益構造を直撃。感染防止対策を講じながらの運営はコストが跳ね上がり、従来のビジネスモデルを維持することが極めて困難になりました。
第二に、施設およびプラント設備の経年劣化・維持修繕コストの増大が挙げられます。オープンから年月が経過し、空調、厨房設備、加工工房、給排水システムなどの大規模改修が必要な時期に差し掛かっていました。これらを全面的に更新するための巨額の設備投資と、将来的な回収見込みを天秤にかけた結果、多額の追加投資を断念せざるを得ない経営判断が下されたとみられます。
第三に、JAグループ全体における経営資源の選択と集中です。茨城県内には、東茨城郡茨城町にフラッグシップとなる広大な「ポケットファームどきどき 茨城町店」が存在します。県内に2つの大規模な農業体験型直売拠点を並行維持するよりも、歴史の長い茨城町店へリソースを集約し、直売所のDX化や物流効率の改善を図ることが、組織全体の持続可能性を高める上で最善の選択肢となったのです。