なぜ「シ」がHに?ドイツ音名一覧と読み方・覚え方をプロが徹底解説
ドイツ音名の優れている点は、変化音(半音上がった音・半音下がった音)の命名規則が極めて論理的である点です。英語のように「C sharp(シー・シャープ)」と2単語に分けるのではなく、語尾に特定の接尾辞を結合させて1単語で発音します。
1. シャープ(半音上がる)は語尾に「-is(イス)」を付ける
幹音のアルファベットの後ろに「is」を付与します。規則性は極めてシンプルで、一切の例外がありません。
- Cis(チス / ツィス):C(ツェー)+ is = ド♯
- Dis(ディス):D(デー)+ is = レ♯
- Eis(エイス):E(エー)+ is = ミ♯(=ファ)
- Fis(フィス):F(エフ)+ is = ファ♯
- Gis(ギス):G(ゲー)+ is = ソ♯
- Ais(アイス):A(アー)+ is = ラ♯
- His(ヒス):H(ハー)+ is = シ♯(=ド)
2. フラット(半音下がる)は語尾に「-es(エス)」を付ける(※例外3箇所)
フラットの場合は基本的に「es」を付けますが、母音が連続する音(E・A)と、歴史的経緯を持つ「H」の3箇所に発音上の例外が存在します。
- Ces(ツェス):C(ツェー)+ es = ド♭(=シ)
- Des(デス):D(デー)+ es = レ♭
- Es(エス):【例外】E + es ではなく「E」が1つ脱落して「Es」= ミ♭
- Fes(フェス):F(エフ)+ es = ファ♭(=ミ)
- Ges(ゲス):G(ゲー)+ es = ソ♭
- As(アス):【例外】A + es ではなく「e」が脱落して「As」= ラ♭
- B(ベー):【超重要例外】H + es(Hes)ではなく単独で「B」と表記 = シ♭
特に「Es(エス)」「As(アス)」「B(ベー)」の3つは、吹奏楽やオーケストラで最も頻繁に登場する調性(変ホ長調=Es-Dur、変イ長調=As-Dur、変ロ長調=B-Dur)の主音となります。この3大例外を真っ先に頭へ叩き込むことが、ドイツ音名攻略の最短ルートです。
3. 重嬰音(ダブルシャープ)と重変音(ダブルフラット)
楽典の上級知識として、半音2つ分変化させる場合のルールも押さえておきましょう。
- ダブルシャープ(-isis / イシス):Cisis(ツィシス=ドの重嬰音)、Fisis(フィシス=ファの重嬰音)など、単に「-isis」を付加します。
- ダブルフラット(-eses / エセス):Ceses(ツェセス=ドの重変音)、Deses(デセス=レの重変音)となりますが、例外としてミの重変音はEses(エセス)、ラの重変音はAsasまたはAses(アサス/アセス)、シの重変音はHesesまたはBB(ヘセス/ベーベー)と表記・発音されます。