なぜ小僧は助かった?『三枚のお札』あらすじと本当は怖い結末を徹底解説
追いつめられた寺の境内でのクライマックスは、緊迫感あふれる心理戦が展開されます。怒り狂う山姥に対し、和尚さんはまったく動じることなく「化けくらべ」を持ちかけます。
山姥のプライドと油断を巧みに突いた和尚さんは、「空を覆うほど巨大になれるか」とおだてて見せさせた後、「では、小豆のように小さくなることはできまい」と挑発。見事に豆粒大に縮んだ山姥を、手元にあった焼き餅に挟んでパクリと食べてしまう結末は、爽快感と同時にどこか背筋が凍るような不気味さを残します。
現代の絵本ではコミカルに描かれることが多いこのシーンですが、東北地方などに伝わる伝承・原作のバリエーションを調べると、さらに生々しく怖い描写が存在します。
地域ごとの原作の違いとして有名なのが、退治された山姥の遺体の行方です。和尚さんが山姥を餅で食べた後、便所で排泄したものが「ハエ」や「蚊」になったという害虫の起源譚につながる伝承や、山姥をすり鉢で擂り潰して蕎麦の薬味にしたというグロテスクな民話も確認されています。昔話が本来持っていた「土着の生々しさ」が色濃く反映された痕跡です。