なぜ一枚の紙が宇宙を変えたのか?ミウラ折り驚愕の仕組みと応用
この革新的なパターンを生み出したのは、東京大学宇宙航空研究所(現・JAXA宇宙科学研究所)の名誉教授を務めた三浦公亮氏だ。1970年代、三浦公亮氏は宇宙空間という特殊な極限状態における「物の開き方」について研究を重ねていた。
複雑なモーターやギアを積めば、それだけで重量が増え、故障のリスクも跳ね上がる。動力を極力使わず、シンプルな力で確実に巨大な膜を広げる方法はないか。三浦公亮氏が注目したのは、筒状の物体を圧迫した際に生じる斜めのシワ、すなわち面座屈現象だった。自然界が生み出すシワの幾何学的パターンを分析し、人工的に再現したことによって誕生したのがミウラ折りである。
理論の正しさは、1995年に打ち上げられた日本の宇宙実験衛星SFU(Space Flyer Unit)の実証実験で世界に証明された。軌道上に達したSFUから、薄膜構造が見事に広がり、微小重力空間で完璧な開閉動作を完遂。世界中の宇宙工学者たちを唸らせた歴史的瞬間だった。