なぜ卒業式で泣かない?斉藤由貴「卒業」歌詞の意味と第二ボタンの真相

なぜ卒業式で泣かない?斉藤由貴「卒業」歌詞の意味と第二ボタンの真相の基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。

楽曲の冒頭、「制服の胸のボタンを下級生におねだりされ 頭かいてあげてしまう」という情景から物語は幕を開けます。春の訪れとともに訪れる別れの儀式。周囲の女生徒たちが涙を流し、別れを惜しむドラマチックな空間において、主人公の少女は「卒業式で泣かないと 冷たい人と言われそう」と極めて冷静に周囲の視線を自覚しています。

当時の歌謡曲において、卒業とは「涙と旅立ち」「悲哀と希望」という二項対立で描かれるのが通例でした。しかし、松本隆が描いた主人公は、感傷に流されるクラスメイトたちから一歩身を引き、醒めた視線でその光景を観察しています。なぜ彼女は泣かないのか。最大の理由は、涙を流すことによって「その他大勢の分かりやすい感傷」と同化してしまうことへの拒絶にあります。

主人公にとって、卒業式で人目をはばからず泣く行為は、周囲に対する自己演出や同調圧力への屈服に映っています。さらに重要なのは、想いを寄せる「あなた」の前で涙をこぼせば、自分が抱いている切実な恋心や喪失の痛みを白日の下に晒してしまうという恐れです。「泣かない」という選択は、冷酷さの表れではなく、自らの傷つきやすい内面を必死に防衛するための鎧であり、少女が保とうとした最後の自立心でした。

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