お笑い第七世代はなぜ失速したのか?現在と生き残り組の明暗を追う
「第七世代ブームの終了」は、彼らの芸人生命の終わりを意味したわけではありません。むしろ、安易な括りが消滅したことで、個々の才能が本来のフィールドで花開いています。
霜降り明星(粗品・せいや):圧倒的な個の確立とメディアの支配
第七世代の旗手であった霜降り明星は、お笑い第七世代 生き残り組の筆頭として別格の地位を築いています。地上波レギュラーを複数抱えながら、特筆すべきは個々のメディア展開です。
粗品は、YouTube個人チャンネルでの過激かつ鋭利な時事放談、ギャンブル企画、音楽活動、アーティストへの楽曲提供など、独自のカルチャーアイコンとしてネット空間を完全に支配しています。一方のせいやは、昭和歌謡や映画への深い造詣、卓越したモノマネ芸、持ち前の愛され力を活かしてファミリー層や大御所タレントからの支持を強固にしました。コンビとしての総合力は、同世代の中で頭一つ抜けています。
ハナコ(岡部・秋山・菊田):演技派コント師の王道と俳優業の確立
コントのクオリティを維持しながら、最もスマートなキャリアを歩んでいるのがハナコです。リーダーの秋山寛貴が手がける緻密な構成のコントは演劇界からも高く評価され続けています。
とりわけハナコ 岡部大の役者としての躍進は目覚ましく、NHK大河ドラマやTBS日曜劇場などで見せる朴訥でリアリティのある演技は、本職の俳優をも唸らせる評価を獲得しました。菊田竜大のキャラクターもバラエティのアクセントとして定着し、トリオとしてのバランスは極めて安定しています。
EXIT(兼近・りんたろー。):タレントから言論・文化人領域への拡張
ネオ渋谷系チャラ男漫才でブレイクしたEXITは、キャラクターの消費期限を見極め、早い段階で活動領域を広げました。兼近大樹は自伝的小説の執筆や報道・情報番組での率直なコメンテーター活動、単独での地方ボランティアなど、若者の代弁者としてのポジションを確立。りんたろー。も美容分野やパパタレントとしての発信を強め、単なるお笑いコンビを超えたインフルエンサーとしての基盤を固めています。
かが屋(加賀・賀屋):単独ライブ即完売が証明する劇場での絶対的支持
一時期はテレビの出演頻度が落ち着いたように見えたかが屋ですが、かが屋 単独ライブの評判は現在、お笑い界屈指の熱量を誇ります。人間の些細な感情の揺れを切り取る短編小説のようなコントは、チケット発売と同時に即完売が常態化。テレビのバラエティに迎合しすぎず、舞台という主戦場で職人的なポジションを完全に確立しました。
ぼる塾(田辺・あんり・はるか・酒寄):食・エッセイ・共感トークの独自経済圏
女性芸人の枠組みを更新したぼる塾も、極めて堅実な足場を築いています。ぼる塾 田辺智加のスイーツやグルメに対する誠実な評価は食品業界から絶大な信頼を集め、プロデュース商品がヒットを記録。あんりの的確かつ愛のあるツッコミ力はバラエティ番組のひな壇で重宝され、育休から復帰した酒寄希望を含めた4人体制でのエッセイ執筆など、独自のファンコミュニティを形成しています。
四千頭身(後藤・都築・石橋):ブーム失速の逆風を乗り越えた「原点回帰」
第七世代ブームの過熱と失速の象徴としてメディアに語られがちだった四千頭身。四千頭身 後藤拓実の現在は、タワマン生活の清算などを自虐ネタにしつつも、原点である漫才とYouTube発信へ愚直に向き合っています。都築のファッション分野での活動など、個々の武器を磨き直すことで、若年層の熱心なファン層を再構築しています。