ピットブル事故はなぜ相次ぐ?危険性の真相と法的責任の境界線
「まさかうちの犬が人を襲うなんて思わなかった」という言い訳は、司法の場では一切通用しません。日本国内においてピットブルが人を噛んで怪我を負わせた場合、飼い主には容赦のない刑事・民事上の法的責任が降りかかります。
まず刑事責任においては、刑法209条の「過失傷害罪」、あるいはより重い刑法211条の「過失致死傷罪(重過失致死傷罪)」に問われる可能性が極めて濃厚です。脱走を許した施錠ミスや、屋外でリードを外していた、あるいは制御不能な人物(腕力のない高齢者や子ども)が散歩させていた事実は「著しい管理義務違反(重過失)」と認定され、禁錮刑や高額な罰金刑が科されるケースが増加しています。
さらに深刻なのが民事上の賠償責任です。民法718条は「動物の占有者等の責任」を規定しており、飼い主は動物が他人に加えた損害を賠償する義務を負います。免責要件として「相当の注意をもって管理していたこと」が挙げられていますが、日本の判例において、闘犬種であるピットブルの咬傷事故で免責が認められた例は皆無に等しいのが実情です。
被害者が顔面や手足に重度の裂傷を負った場合、形成外科での複数回の手術費用、入院・通院慰謝料、後遺障害による労働能力喪失に伴う「逸失利益」が請求されます。過去の咬傷裁判例では、賠償総額が2,000万円〜5,000万円を超える高額判決も珍しくありません。被害者が散歩中の小型犬であった場合でも、高額な動物病院治療費に加え、精神的苦痛に対する慰謝料が認められる潮流が定着しています。
ピットブルを飼育するという行為は、法的に見れば「いつでも致死性の凶器になり得る存在を日常的に管理している」のと同義であり、万一の際には人生を破滅させかねない金銭的・社会的制裁が待ち受けています。