無量大数の上にある驚愕の数とは?仏教と数学が拓く巨大数の深淵
日常の命数法が無量大数で幕を閉じる一方で、古代インドに端を発する仏教哲学は、遥か彼方の領域まで独自の数の体系を構築していました。その集大成が大乗仏教の重要経典『大方広仏華厳経(華厳経)』に記された大数の一覧です。
華厳経の「阿僧祇品(あそうぎぼん)」では、心念の数や仏の智慧、広大無辺な宇宙の救済を表現するために、10の7乗(1000万)を「倶胝(くてい)」と名付け、それを自乗(2乗)していく独自の累乗システムが展開されます。倶胝の倶胝倍を「阿ゆ多(あゆた)」とし、さらにそれを自乗して「那由他」、さらに自乗して……と122回もの二乗操作を繰り返していきます。
その極限に位置するのが、仏教における最大の命数である「不可説不可説転(ふかせつふかせつてん)」です。数値として計算すると、以下のようになります。
10 × 7 × 2122 = 1037,218,383,881,977,644,441,306,597,687,849,648,128
指数(10の右肩に乗る数字)だけでも約3.72×1037(約37澗)という驚愕の数値です。仮に1秒間に1個ずつ「0」をノートに書き続けたとしても、宇宙が誕生してから現在までの約138億年を何兆回繰り返しても書き切ることはできません。古代の僧侶たちは、知覚できないほど広大な仏の功徳を言葉で表現するために、この天文学的な数を生み出しました。