駆け抜ける千年の歴史!上賀茂神社と馬が魅せる感動の神事全貌
賀茂競馬の主役は、馬だけではない。色鮮やかな装束に身を包み、鞍上に跨る乗尻(のりじり)と呼ばれる騎手たちの存在なくして、この神事は成り立たない。乗尻を務めるのは、代々神社に仕えてきた家系や、幼少期から厳しく馬術の訓練を重ねてきた若者たちだ。
現代の和馬術・古流馬術の技術を継承する彼らの乗り方は、西洋競馬のジョッキーとは一線を画す。あぶみを深く踏み込み、腰を落として馬の背と一体になる姿勢は、まさに日本の歴史・馬術文化の結晶だ。疾走する馬の上から繰り出される手綱さばき、そして相手との距離を測る鋭い眼光。勝敗を決する差はわずか数センチ、一瞬の隙が明暗を分ける。
乗尻たちは単に速さを競うのではない。神前で全力を尽くし、無事に大役を果たし終えることこそが最大の使命なのだ。出走直前に見せる緊張で引き締まった表情と、駆け抜けた後に見せる安堵の微笑み。そこには、伝統を次世代へとつなぐ若者たちの情熱と誇りが溢れている。