日本製鉄の株価掲示板が荒れる真相|買収難航と配当見通しの決定打
ネット掲示板上では、事実とは異なる誇張や誤解が一人歩きすることが少なくありません。特に投資判断を狂わせる代表的な2つの誤解について真相を検証します。
誤解①:「鉄鋼業界は中国の安売り攻勢で壊滅的な打撃を受ける」
確かに汎用鋼材の分野では中国メーカーの過剰供給が世界市況を圧迫しています。しかし、日本製鉄が現在注力しているのは、EVの駆動モーターに不可欠な「無方向性電磁鋼板」や洋上風力発電用の超厚鋼板など、他社が容易に追従できない高付加価値商品群です。汎用材の市況低迷が直ちに全体の業績崩壊につながるわけではないという構造転換の実態は、掲示板の悲観論では見落とされがちです。
誤解②:「USスチール買収は無謀な高値づかみであり失敗が確定している」
一部の過激なスレッドでは買収による損失ばかりが強調されますが、北米市場は保護主義的な通商政策により、米国内に拠点を持つメーカーが高い利益率を維持しやすい特殊な構造を持ちます。電炉大手のビッグ・リバー・スチールを傘下に持つUSスチールを押さえることは、グリーン鋼材需要が高まる北米マーケットでの確固たる地位獲得を意味します。短期的な統合コストと中長期的なキャッシュ創出力の双方を冷静に天秤にかける必要があります。