地震の横揺れと縦揺れはどっちが危険?長周期地震動の脅威と2026年最新対策
一般的には「下から突き上げる縦揺れのほうが家具を跳ね上げ、建物を基礎から破壊するのではないか」というイメージが先行しがちです。直下型地震において震源直上に位置した場合、強烈な鉛直加速度によって柱がホゾ抜けを起こすケースがあるのは事実です。しかし、建築耐震工学の観点から総合的な破壊リスクを検証した場合、構造物にとって圧倒的に危険なのは水平方向に作用する横揺れです。
日本の住宅やビルは、重力に逆らって自重を支える構造(鉛直耐力)を標準で備えています。しかし、横方向から繰り返し加わるせん断力に対しては、筋交いや耐力壁、剛節フレームなどで意図的に耐性を持たせない限り、歪みに耐えきれず容易に層崩壊(1階部分が押し潰される現象)を起こします。特に木造家屋や築年数の古い旧耐震基準ビルにおいては、S波の水平加振によって柱が傾き、接合部が破断することが倒壊の直接的な引き金となります。
「横揺れと縦揺れどっちが危険なのか」という問いに対する結論は明白です。瞬発的な衝撃力による落下物リスクは縦揺れに警戒を要するものの、建造物の変形・破壊・倒壊に至る致死リスクの約8割以上は横揺れが原因となっています。短周期であれ長周期であれ、建物を水平方向へ繰り返し揺さぶるエネルギーこそが、人命を脅かす最大の要因です。