『ロマンスドール』蒼井優の濡れ場真相と結末に隠された夫婦の真実
蒼井優と高橋一生の共演は、岩井俊二監督の傑作『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)以来、実に19年ぶりのことでした。思春期の多感な時期を共に過ごした二人が、成熟した大人の俳優として対峙した現場には、独特の緊張感と阿吽の呼吸が存在していました。
公開記念特番や舞台挨拶で明かされたエピソードによると、撮影初日からすでに「10年連れ添った夫婦の空気」が自然と出来上がっていたといいます。タナダユキ監督は二人に細かい所作の指示を出さず、台所での佇まいやリビングでの沈黙の長さなど、役柄として生きる二人の生理的なリズムをそのままキャメラに収めました。
また、ラブドール製造のリアリティを追求するため、高橋一生は実在する老舗ドールメーカー「オリエント工業」の熟練職人の元へ通い詰め、石膏の混ぜ方から彫刻刀の握り方、指先の細やかな研磨作業に至るまで徹底的な技術指導を受けました。劇中で見せる哲雄の職人技は吹き替えのスタッフの手元ではなく、高橋自身が猛特訓の末に体得した所作です。この徹底した職人描写があったからこそ、荒唐無稽に見えかねない結末の説得力が担保されたのです。