世界が探す「日本の表現者」加瀬亮――スクリーンの余白に宿る静かな狂気と国際派アクターの現在地
海外監督の作品に出演する日本人俳優は少なくないが、彼ほど現地のフィルムメーカーの色彩に自然体で溶け込める者は稀だ。『硫黄島からの手紙』(2006年)での元憲兵・清水役で見せた緊迫感ある演技は、クリント・イーストウッド監督から絶大な信頼を獲得した。英語が堪能であるという言語的アドバンテージはもちろん大きいが、それ以上に「異文化の現場に身を委ねる柔軟さ」が彼の海外進出を支えている。
イランの巨匠アッバス・キアロスタミが日本で撮影した『ライク・サムワン・イン・ラブ』(2012年)や、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙 -サイレンス-』(2016年)など、世界的な名匠たちが彼に重要な役を託す理由は明白だ。彼はスクリーン上で「演技をしている俳優」ではなく、「その世界に実在する生身の人間」として存在できるからにほかならない。作品の国籍や規模に関わらず、独自の軽やかさでフレームの中に漂う姿は、真のグローバルアクターと呼ぶにふさわしい。