さつまいもを甘くする方法の真相!低温加熱と熟成で蜜芋化する極意
では、家庭にある調理器具を用いて、専門店の「ねっとりとした蜜芋」を作り出すにはどうすればよいのでしょうか。調理科学に基づいた2つの再現メソッドと、プロが隠し技として用いる前処理テクニックを解説します。
第1のアプローチは、オーブン焼き芋で糖度を上げる温度管理の徹底です。予熱なしのオーブンに、アルミホイルで隙間なく包んださつまいもを投入し、160℃の低温設定で80分〜90分じっくりとローストします。あえて予熱を行わないことで、庫内温度の上昇に伴い、芋の中心温度が65℃〜75℃のゾーンを極めてゆっくりと通過します。竹串が抵抗なくスッと通る状態になった後、すぐに取り出さず、余熱が冷めるまで庫内に30分放置することで、内部の糖化反応を極限まで引き伸ばすことが可能です。
第2のアプローチとしてネット上で圧倒的支持を集めているのが、炊飯器でさつまいもを甘くする裏技です。炊飯釜によく洗ったさつまいもを並べ、水を100ml〜150ml(芋の底が浸る程度)注ぎます。ここで通常の炊飯ボタンではなく、「玄米モード」または「おかゆモード」を選択して炊飯します。玄米モードは、硬い米粒に吸水させるため、沸騰前の低温維持時間(約60℃〜70℃)が通常炊飯よりも格段に長くプログラムされています。これが期せずしてさつまいもの麦芽糖化に最適な環境を作り出し、スイッチ一つで驚くほどトロトロの仕上がりを実現します。
さらに仕込み段階で劇的な差を生むのが、蜜芋に仕上げる塩水漬けの効果です。調理前の生のさつまいもを、濃度約1%の塩水(水1リットルに対して食塩10g)に1時間〜2時間浸漬させておきます。塩水の浸透圧によって不要なアクが抜けるとともに、細胞膜に適度な変化が生じて熱伝導が均一化します。加えて、微量の塩分が舌の味蕾を刺激し、対比効果によって焼き上がりの麦芽糖の甘味を何段階も際立たせる効果をもたらします。