山本屋総本家と本店の違いとは?生煮えの真相と老舗の魅力を徹底解説
ネット上のレビューやSNSで時折見かける「麺が生煮えだった」「芯が硬すぎて食べられない」という書き込み。結論から述べると、これは調理ミスではなく、味噌煮込みうどんという料理を成立させるための必然の製法です。
一般的な讃岐うどんや稲庭うどんは、生地を打つ際に小麦粉に対して約5〜10%の食塩水を加えます。塩分を加えることで小麦粉のタンパク質(グルテニンとグリアジン)が強固に結合し、茹でた際にもちもちとした弾力とツルツルの喉越しが生まれます。
しかし、山本屋総本家の麺は「小麦粉と水のみ」で手打ちされます。塩を一切使用しない理由は二つあります。
第一に、塩が入った生麺を濃厚な味噌出汁で直接煮込むと、麺から塩分が煮汁に溶け出し、ただでさえ濃厚な八丁味噌のつゆが塩辛すぎて飲めなくなってしまうためです。通常のうどんのように下茹でして水で締めてから鍋に入れるのではなく、生麺のまま生の出汁に放り込んで一発勝負で煮込むのが名古屋流の味噌煮込みうどんです。
第二に、塩分を含まない麺は、煮込んだ際に表面が糊化(α化)して適度にとろみを出しつつも、中心部には小麦本来の強い結合が残ります。これにより、グツグツと煮えたぎる土鍋の中でも麺が溶け崩れず、パスタの「アルデンテ」にも通じる力強い噛みごたえと、噛むほどに広がる豊かな小麦の香りを維持できるのです。初めて口にする方は驚くかもしれませんが、これこそが計算し尽くされた老舗の職人技です。