神保町さぼうるが愛される理由|行列の真相とさぼうる2の違いを徹底解剖
学生街であり世界屈指の古書店街でもある神保町において、1955年(昭和30年)に産声をあげた「味の珈琲屋 さぼうる」。店名の由来は、スペイン語で「味・風味」を意味する「SABOR(サボール)」にあります。創業者の鈴木文雄マスターはかつて、メディアの取材に対して「学生やサラリーマンが気兼ねなく息抜きし、良い意味で日常をサボれる場所にしたい」という茶目っ気あるダブルミーニングを語っていました。
店内へ一歩足を踏み入れると、外界の喧騒が瞬時に遮断されます。山小屋のロッヂを思わせる木造の構造、薄暗い暖色系の灯り、地下・1階・中2階が立体的に入り組んだスキップフロアの空間設計。レンガの壁面には、半世紀以上にわたって歴代の客が刻み込んできた無数のサインやメッセージが刻まれています。この独特の空間について、建築デザインや都市文化の専門家は「プライベート感と適度な開放感が共存する、極めて稀有な建築意匠」と高く評価しています。
活字文化の拠点である神保町という土地柄、かつては作家や編集者が原稿の推敲や企画会議に使い、隣接する明治大学や日本大学の学生たちが夢を語り合う現場でした。その精神性は令和の現在も微塵も揺らいでいません。移り変わりの激しい飲食業界において、創業当時の空気をそのまま保存し続けるタイムカプセルのような存在感が、世代や国境を超えて人々を魅了する最大の原動力となっています。