世界一難しい恋の配信と再放送の真相|大野智と波瑠が紡いだ傑作の全貌
本作が放送から年月を経てもなお愛され続ける最大の理由は、卓越したキャスティングの妙にあります。鮫島零治を演じた大野智は、それまで『魔王』や『怪物くん』『死神くん』など非日常的・浮世離れしたキャラクターで唯一無二の評価を得ていましたが、本作で初めて「等身大の成人男性の恋愛劇」に挑みました。大野本人が当時の特番インタビューやメイキング映像で「自分とは真逆の性格の男。なぜこんなに怒るのか理解するのに苦労した」と述懐していた通り、役作りに深く苦悩しながらも、冷徹な仮面の裏にある無垢な少年の瞳を見事に体現しました。
ヒロイン・柴山美咲を演じた波瑠は、NHK連続テレビ小説『あさが来た』のヒロイン直後の民放連ドラ出演となり、日本中の熱狂的な注目を集める中で本作に臨みました。朝ドラで培った凛とした清潔感と芯の強さは美咲のキャラクターに完璧に合致し、社長の横暴をものともしない爽快な芝居で作品の軸を支えました。現在も実力派トップ女優として第一線で映画や主演ドラマを牽引し続けています。
そして本作のコメディリリーフであり精神的支柱となったのが、秘書・村沖舞子役の小池栄子です。零治の理不尽な命令を冷静に受け流しつつ、的確すぎる愛のムチで社長を導く敏腕秘書の姿は、視聴者から「理想の部下であり上司」と絶賛されました。小池栄子はこの演技で数々の助演女優賞を獲得し、現在のバイプレイヤーとしての不動の地位を決定づけました。
さらに、零治の恋の師匠にして宿敵の和田社長を演じた北村一輝の艶っぽい怪演、零治を優しく包み込む運転手・石神役の杉本哲太の滋味あふれる温もり、そして当時ジャニーズWESTの若手としてお調子者の後輩社員・三浦家康を熱演した小瀧望のフレッシュな存在感など、全方位に隙のない布陣が作品のテンポと密度を極限まで高めていました。