なぜ力餅食堂は激減したのか?のれん分けの掟と名物おはぎの真相に迫る
力餅食堂ののれんをくぐると、誰もが目にするのが「麺類・丼物・甘味」という独特の三本柱です。大衆食堂でありながら和菓子店でもあるこのハイブリッドスタイルこそ、力餅食堂の真骨頂と言えます。
1. 店頭を飾る「名物おはぎ」と「赤飯」の歴史
店頭の木枠ガラスケースに鎮座する大ぶりのおはぎ。北海道産小豆をじっくり炊き上げた粒あんは、甘さ控えめで塩気がほんのり利いており、中のもち米の半搗き(はんづき)加減と絶妙に調和します。大正・昭和初期、甘いものが貴重だった時代、庶民にとって「うどんを食べた帰りにお土産でおはぎや赤飯を買って帰る」ことは家族への最大のご馳走でした。彼岸の時期には今でも早朝から予約の電話が鳴り響き、慶事用の赤飯(折箱入り)を買い求める客が列をなします。
2. 定番人気のうどん・丼物(きつね・カレーうどん・木の葉丼)
関西うどんの真髄とも言える透き通った黄金色の出汁は、サバ節、ウルメ節、昆布を贅沢に使ったもの。甘辛く炊かれた大きなお揚げが乗った「きつねうどん」や、出汁にとろみを利かせた熱々の「カレーうどん」は冬の看板メニューです。さらに、関西特有の「木の葉丼(スライスした蒲鉾と椎茸を卵でとじた丼)」は、素朴ながら職人の火入れ加減が光る逸品として世代を超えて親しまれています。
3. 食堂マニアを唸らせる「中華そば」の存在感
知る人ぞ知る名物が、食堂が手掛ける「中華そば(和風ラーメン)」です。例えば京都の清水五条店では、鶏ガラと和風出汁を合わせた澄んだスープに中細ストレート麺、チャーシュー、メンマ、蒲鉾、ネギが添えられた中華そばが750円(税込)前後で提供されています。ラーメン専門店の濃厚スープとは一線を画す「毎日でも食べられるあっさりとしたコク」は、うどんの出汁引き技術があるからこそ生み出せる深い滋味です。