実は全くの別物?「もつ」と「ホルモン」の決定的な違いと部位の真相
言葉の成り立ちを紐解くと、長年語り継がれてきた有名な言説が実は歴史的事実と異なることが見えてきます。
「もつ」の語源:古来の日本語「臓物(ぞうもつ)」に由来
「もつ」の起源は明快です。古くから生体内の器官を指していた「臓物(ぞうもつ)」の「もつ」が独立して名詞化したものです。江戸時代から明治初期にかけて、獣肉食の解禁とともに内臓を煮炊きして食べる大衆食文化が発達する中で、親しみを込めて「もつ」と呼ばれるようになりました。
「ホルモン」の語源:「放るもん説」は後付けのキャッチコピー
テレビやネットで頻繁に取り上げられる「大阪弁で捨てるものを意味する『放るもん』が語源」という説は、実は歴史研究によって否定されている俗説です。
近代食文化研究の記録や大阪の老舗洋食店「北極星」の公式記録によると、1936年(昭和11年)に同店の創業者・北橋茂男氏が、内臓料理を栄養価の高いスタミナ料理として提供する際、医学用語の「Hormon(ホルモン=生体の活力を目覚めさせる物質)」にあやかって登録商標を出願したことが正式な起源です。
「捨てるはずの内臓を工夫して美味しく食べる」という庶民のバイタリティを強調するプロモーションとして、後から「放るもん」という語呂合わせが関西圏を中心に広まり、それが定説のように定着したというのが真相です。