すい臓がん初期症状の危険シグナル|背中の鈍痛・尿の異変と早期発見法
膵臓がんはなぜ発見が遅れるのか。その最大の理由は、胃や十二指腸の背側、腹腔の最も奥深い後腹膜と呼ばれる場所に位置しているためです。周囲には太い血管や胆管、神経叢が密集しており、初期の小さな腫瘍では知覚神経を刺激しにくく、強い激痛が現れません。しかし、腫瘍がミリ単位で成長する過程で、身体は必ず特有の「わずかなサイン」を外部へ滲み出させています。
代表的な初期の違和感として挙げられるのが、すい臓がんにおける背中の痛みの特徴です。整形外科的なぎっくり腰や肩こりとは異なり、「肩甲骨の間からみぞおちの真裏あたりに、重い鉛を押し込まれたような鈍痛や張り」が持続します。膵臓の背側を通る腹腔神経叢に圧迫や微小な浸潤が及ぶことで生じるもので、仰向けに寝ると痛みが強まり、身体を前屈み(エビのように丸める姿勢)にすると痛みが和らぐという姿勢依存性の特徴を示す臨床例が多く報告されています。
また、すい臓がんの腹痛の位置は、おへその上あたりからみぞおち(心窩部)を中心とする上腹部が主となります。胃炎や十二指腸潰瘍と勘違いされやすいですが、胃薬を内服してもすっきり改善しない不快感が数週間以上くすぶり続ける点が特徴的です。
さらに見過ごせないのが排泄物の色調変化です。膵頭部(十二指腸側)に腫瘍ができると胆管が狭窄し、胆汁が血中に逆流して黄疸を引き起こします。皮膚や白目が黄色くなる前に、まず尿の色がウーロン茶や濃い紅茶のように茶褐色へ濃染します。同時に、便を黄色〜茶色に着色するビリルビンが腸に届かなくなるため、自覚症状として便の色が白っぽく変化(灰白色便や粘土色便)します。「尿が急に濃くなり、便の色が抜けてきた」という訴えは、一刻を争う閉塞性黄疸の危険シグナルです。
加えて、食生活を変えていないにもかかわらず短期間で生じる体重減少も決定的な前兆となります。すい臓がんによる体重減少の理由は、外分泌機能の低下によって脂肪やタンパク質を分解する膵液が不足し重度の消化吸収不良に陥ることに加え、がん細胞が分泌する炎症性サイトカインが全身の脂肪や筋肉を強制的に分解する「がん悪液質」を引き起こすためです。数ヶ月で体重が4〜5kg以上自然に減少した場合は、内臓疾患を疑うべき明白な根拠となります。