スプレー缶は燃えないゴミでいい?穴あけ不要とガス抜きの新常識
長年、日本の家庭では「スプレー缶を捨てる際は釘や専用器具で穴をあける」という行為が常識とされてきました。しかし、環境省スプレー缶排出方法に関する指針が改定されて以降、全国の自治体の8割以上で「穴あけ不要」での回収が標準化されています。
この劇的なルール転換の背景にあるのが、スプレー缶穴あけ危険性と痛ましい事故事例の蓄積です。2018年に札幌市で発生した不動産店舗の大規模爆発事故をはじめ、屋内の台所や風呂場、ベランダ等で穴あけ作業を行った際、滞留した噴射ガス(LPGやDME)に給湯器の種火、換気扇のスイッチ火花、静電気が引火して住宅全焼や死傷者を出す事故が後を絶ちませんでした。
東京消防庁および独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の公表データによると、スプレー缶・カセットボンベに起因する火災・破裂事故の約半数は「中身のガス抜き・穴あけ作業中」に発生しています。「穴あけを義務付けること自体が市民を危険にさらす」という安全工学的な判断から、行政と日本エアゾール協会などの業界団体が連携し、「中身を使い切り、穴をあけずに安全な状態で出す」方式へと舵が切られました。