太陽系の惑星英語完全攻略!順番と語呂合わせ・冥王星除外の真相
「太陽系の惑星はなぜ9個から8個に減ったのか?」――この疑問は、2000年代初頭までに義務教育を終えた世代にとって、今なお最大の謎として語られがちです。「冥王星が破壊されたのか」「軌道から消滅したのか」といった誤解さえ散見されますが、真相は天体そのものの変化ではなく、人類の観測技術の進歩に伴う「惑星の定義の厳密化」にありました。
歴史の転換点となったのは、2006年8月にチェコのプラハで開催された第26回国際天文学連合(IAU)総会です。激しい議論の末、IAUは観測史上初めて「惑星(Planet)」という言葉に明確な3つの定義を下しました。
【国際天文学連合(IAU)が定めた惑星の3条件】- 太陽の周りを公転していること(Orbits around the Sun)
- 十分な質量を持ち、自己重力によってほぼ球形を保っていること(Has sufficient mass to assume hydrostatic equilibrium / a nearly round shape)
- その軌道の周辺から、他の天体を排除(一掃)していること(Has cleared the neighbourhood around its orbit)
冥王星は1番目と2番目の条件を難なくクリアしていました。しかし、決定打となったのが3番目の「軌道周辺から他の天体を一掃していること」という条件です。
2000年代に入り、ハワイのすばる望遠鏡をはじめとする超高精度な観測機器により、海王星の外側に広がる「エッジワース・カイパーベルト」と呼ばれる領域から、氷と岩石でできた小天体が無数に発見され始めました。極めつけは2005年、天文学者マイク・ブラウン博士らの研究チームによって発見された天体「エリス(Eris)」の存在です。当初、エリスは冥王星よりも質量が大きいと推計されました。
「エリスを第10惑星と認めるべきか、それとも冥王星を含めて見直すべきか」――もしエリスを惑星とするならば、カイパーベルトにある同規模の天体を次々と惑星に認定しなければならず、教科書の惑星数が数十個、数百個へと膨れ上がる恐れが生じたのです。
精緻な軌道計算の結果、冥王星の質量は周囲のカイパーベルト天体全体のわずか数パーセントに過ぎず、自身の重力で軌道上の天体をクリアできていない実態が明白となりました。こうして投票の結果、冥王星は惑星(Classical Planet)のリストから除外され、新たに創設された分類である「準惑星(dwarf planet)」の代表格へと再分類されたのです。
なお、英語圏ではこの決定があまりに衝撃的だったため、「plutoed(理不尽に降格される、格下げされる)」というスラングがアメリカ方言学会の2006年「ワード・オブ・ザ・イヤー」に選出されるなど、社会現象として大きな足跡を残しました。