山代温泉べにや無何有の全貌解剖|名宿が放つ唯一無二の価値と評判
加賀温泉駅から車を走らせること約15分。山代温泉街の喧騒から少し離れた薬師山の緑深き斜面に、べにや無何有はひっそりと佇んでいます。宿の根底に流れるのは、中国の思想家・荘子が提唱した「無何有の郷(むかうのきょう)」という哲学です。「役立つものなど何もない、だからこそ何にも束縛されず自由でのびやかである」という思想は、情報過多に追われる現代社会において、これ以上ないラグジュアリーとして再定義されています。
その思想を視覚的・空間的に昇華させたのが、日本を代表するグラフィックデザイナー・原研哉氏と建築家・竹山聖氏のコラボレーションです。原氏は宿のロゴサインからステーショナリー、オリジナルアメニティのパッケージに至るまでトータルでアートディレクションを担当。無駄を極限まで削ぎ落としながらも冷たさを感じさせないミニマリズムが、館内の隅々にまで貫かれています。
2008年には、世界的権威を誇るホテル・レストラン会員組織「ルレ・エ・シャトー(Relais & Châteaux)」への加盟を果たしました。厳しい審査基準で知られる同組織において、長年にわたり質の高いホスピタリティと地域性を世界へ発信し続けている日本の宿はごくわずかです。国内外の著名人や文化人の滞在記が絶えない理由は、単なる知名度ではなく、思想・建築・接遇が高い純度で共鳴している点にあります。